世の中には、「夢を持て」「自己実現を目指せ」という言葉が溢れています。

指導者として活動していると、時に「田代さんの夢は何ですか?」と聞かれることがあります。

正直に言います。

「自分が主役になってスポットライトを浴びたい」というような、

個人的な大きな夢はありません。

自分が主役になる人生を歩もうとすると、全てのバランスが崩れることに気づいたからです。

長年この仕事をしてきて、はっきりと分かったことがあります。

自分が主役になるよりも、誰かの夢を叶えるための「黒子」に徹している時が、

一番充実していて、一番力を発揮できるということです。

トレーナーという仕事は、決して自分が前に出る仕事ではありません。

主役はあくまで、目の前で汗を流している選手であり、痛みを乗り越えようとしている会員様です。

もし指導者に、「自分のすごい指導法を世間に認めさせたい」「俺が勝たせてやったんだ」

というような強いエゴがあれば、それは必ず相手の成長の邪魔になります。

最も警戒しているのは、自分の中にあるその「エゴ」です。

個人的な「自分の夢」がないからこそ、目の前の人の夢に、100%の純度で入り込むことができます。

自分を捨てて、相手の世界に完全にお邪魔することができる。

だからこそ、最強のアシスト役になれるのだと思っています。

全国大会に向かう学生アスリート。 長年の痛みから解放されて、趣味を取り戻した父。

もう一度、自分の足で旅行に行きたいと願う高齢者の方。

彼らが目標を達成した瞬間、僕は自分のこと以上に心が震えます。

しかし、その逆もまた然りです。 勝てば心が震えますが、

もし彼らが負けた瞬間、目標に届かなかった瞬間……超絶な罪悪感に駆られます。

「もっとやれることがあったんじゃないか」 「自分の指導が足りなかったせいだ」

罪悪感というか、凄まじい自己嫌悪です。

自分が悪いんだと、本気で落ち込みます。

これだけは、どうしても言っておきたいことがあります。

安全な場所(卓上)で、「こうすれば良くなる」「この理論が正しい」と語るのは、誰にでもできる簡単なことです。
しかし、現場で、選手の人生や夢を背負いながら、身銭を切ってジムを運営し、

それを実践するということは、全く別次元の話です。

それは例えるなら、高層ビルとビルの間に渡された細い鉄骨の上を歩くような……いや、ただの「綱渡り」のような個人のスリルではありません。

「自分が一歩選択を間違えれば、この子の数年間の努力が全て終わってしまうかもしれない」という、

逃げ場のないヒリヒリとした重圧の中で、決断を下し続けるということです。

自分の夢ではないのに、他人の勝負でそこまでダメージを受けるのかと笑われるかもしれません。

でも、一つの個人的な夢に縛られていないからこそ、

僕はこれまでの人生で、何十、何百という「他人の夢」に100%の純度で乗っかり、

一緒に喜び、そして一緒に絶望してきました。

こんなに贅沢で、ヒリヒリするような、幸せな人生はないと思っています。

僕には、いわゆる「自分の夢」はありません。

ですが、夢というようなふわふわしたものではなく

、現実に「絶対にやらないといけないこと」があります。

それは、自分と同じ働き盛りの同世代を元気にすること。

地域のシニア世代の方々に健康を取り戻し、元気になってもらうこと。

そして、これからアスリートを目指す子供たち、社会へと羽ばたいていく次世代の未来を創り、導くこと。

自分が主役になりたいわけではない。

ただ、同世代やシニアの方々、そして未来ある子供たちを、誰よりも輝かせたい。

そのための土台作りなら、地味で泥臭いことでも、裏方の作業でも、喜んでやります。

個人的な夢はないけれど、僕にはやるべきことがある。

それが、この「TASHIRO CLUBジムの運営」です。

これからも、この場所で、最強の「黒子」として皆様を支え続けていきます。

 

 

TASHIRO CLUB 田代